宇宙では、至るところに高エネルギーの粒子「宇宙線 (Cosmic Ray)」が飛び交っています。その中でも特にエネルギーが高い「最高エネルギー宇宙線」は、宇宙線がどうやって高いエネルギーを得て、どこを通って地球までやってきたのか、謎に包まれたその正体を知る手がかりになると期待されています。
本研究室では、アメリカ・ユタ州の砂漠地帯で行われているテレスコープアレイ実験に参加し、最高エネルギー宇宙線の観測による宇宙線発生起源の探索や、銀河間・星間空間での宇宙線伝播の研究をしています。
地球に到来した最高エネルギー宇宙線は、大気分子の原子核に衝突し、100億個以上の粒子が数kmの範囲に降り注ぐ「空気シャワー現象」を起こします。テレスコープアレイ実験では、地表に到達する空気シャワー粒子をサンプリングする地表検出器アレイと、粒子が空気中で発する微弱な光を捉える大気蛍光望遠鏡を併用し、最高エネルギー宇宙線を観測しています。
本研究室では、テレスコープアレイ実験の一員として、現地での観測オペレーションや装置のメンテナンスに参加しています。また、空気シャワー現象を理解するためのモンテカルロ · シミュレーションや、粒子の種類を識別できる高機能な地表検出器の開発、大気蛍光望遠鏡を較正するための大気透明度測定の研究など、観測装置の性能向上のための研究・開発を行っています。その他、望遠鏡格納庫を始めとした各種観測設備の遠隔化/自動化にも取り組んでいます。