宇宙からは、目に見える星の光以外にも、電波や赤外線といった目には見えない電磁波が絶え間なく地球に降り注いでいます。これら電磁波を大切に受け止め、そこに隠れた情報を読み解くことで、私たちは遥か遠くの宇宙を識ることができます。
本研究室では、国立天文台の野辺山45m電波望遠鏡や南米チリに建設されたALMAなどの巨大観測装置を駆使して、私たちの住む天の川銀河の中心部で起こる様々な謎(星間分子雲の運動や物理・化学状態、超大質量ブラックホールの活動性、中間質量ブラックホールの存在など)の解明に取り組んでいます。また、電波天文データ解析用ソフトウェアの開発も行なっています。
図:野辺山45mm望遠鏡
天の川銀河 (銀河系)の中心部には、太陽の400万倍もの質量をもつ超大質量ブラックホールが核として存在し、それを取り囲むように無数の恒星や大量の星間物質がひしめき合っています。ここには太陽系近傍の宇宙とは全く異なる環境が広がっていて、多種多様な天体が織りなす未知の天文現象が多く観測されます。
私たちは大型電波望遠鏡を用いた分子スペクトル線観測を主軸に、銀河系中心部に密集する星間物質の運動や物理・化学状態を調べることで、中心核ブラックホールの活動性や中心核への物質供給過程の解明を目指しています。また、星間分子雲の特異な加速運動を手がかりに、天文学上重要な未解決問題の1つ「超大質量ブラックホールの起源」解明の鍵となる“中間質量ブラックホール”の探査を推進しています。
図1: 星間ガス雲を振り回す中間質量ブラックホール
図2: ALMA望遠鏡 (credit:Y. Beletsky (LCO)/ESO)